匠の3人展 〜匠の杜工房〜

個展風景

匠の杜工房(群馬県前橋市)のショールームにて、2007年4月30日〜5月6日まで、和の伝統文化のコラボレーションによる個展をいたしました。
匠の杜工房さんは、以前ロゴを書かせていただいてからおつきあいがはじまり、
今回の企画にいたりました。


トークライブメンバーは、
和紙で有名な埼玉県小川町の「紙工房たかの」の鷹野貞三さん、群馬県ウッドクラフト作家協会の指物師、吉澤良一さん、私、女流書道家の矢部澄翔、3人のコラボレーションです。


初日は、3人のトークライブ。
プロを目指したわけ、作品完成までの裏話などお客様とともに
和やかな時間を過ごしました。
紙も、指物も、書も、ものづくりという観点から見ると通じるものが
たくさんありありました。


花鳥風月2

トークライブの後には、リクエストにお応えして
皆様の前で揮毫させていただきました。


絆

お客様にとってその1枚は一期一会の書であり
書き直しができない、真剣勝負。

その言葉の裏にはドラマがあって
後でそれを知ることになった時、
責任の重みを感じました。

120%の誠意を伝えたいから、
少しでも手は抜けません。


花鳥風月
紙提供 : 紙工房たかの 鷹野禎三様
書 「花鳥風月」 : 書道家 矢部澄翔
屏風制作 : 指物士 吉澤良一様

この屏風は、3人の合作です。

個展会期1ヶ月前、初対面の指物士吉澤さんらとともに紙工房たかのを訪れました。
私たちのわがままなリクエストを聞いてくださり、今回のために紙を漉いてくださったのです。

紙が届いたのは会期2週間前・・・。
はじめは黒い和紙に金で書こうと思ったのですが、
イメージに合わず、試行錯誤の末、残り最後の和紙にこの言葉を書きました。
紙も、書も、指物もすべては自然の材料からできていて、
美しい自然を讃える言葉を、選ぶことにしました。

バトンを渡したのは1週間前、屏風完成は前日のことでした。
群馬県ウッドクラフト作家協会の吉澤さんが屏風を手がけてくださいました。
枠の木は、黒柿の木で墨を流したような柄がでる木はめったにない切り倒してみないとわからないという貴重な木だとか。
書が引き立つように、漆の色や屏風のデザインを考えてくださった吉澤さん。
裏面はしっかりと個性を出されていた趣ある屏風でした。


朔太郎詩

萩原朔太郎詩 「涙」
和紙:重要無形文化財細川紙 
和紙提供:紙工房たかの(鷹野禎三様)

埼玉県小川町の禎さん。
先週、我が川越に天皇がいらっしゃった際、案内をされたそうです。
宮内庁にも紙を収めているすごい方なのに、
今回のために、和紙をわざわざ作ってくださいました。
感激・・・・。

埼玉県小川町は和紙の産地で有名で、中でも細川紙は重要無形文化財(日本で3つ)に指定さえrています。
茶色の紙は、柿しぶで染めた紙です。
防虫効果もあり、年月が経てば経つほど深い色あいに変化していくそう。
耳つきの和紙は、書く前に軽くもみ、素朴な感じにしてみました。
個展会場も群馬ということで群馬県出身の萩原朔太郎の詩を選びました。

時が経つほど味わいがでる紙だなんて、素敵!
普通は、時とともに劣化していくじゃない?

漆もそうなんですって。
指物士の吉澤さんが屏風を作ってくださったのですが、
色を塗った直後より、年月とともに色が深くなってゆく・・・。

その道を極めた人の話には説得力があり、
信念があり、優しさを感じました。


飛翔

個展用に書き下ろしで30点以上書きました。
その中で厳選したものだけを飾るのですが、
中には日の目をみないでダンボール箱行きの書もあるわけで・・・。

その中でもちょっと気に入っていたのが、この飛翔。
個展用ではなくて、年賀状の素材用に書いたものなのですが、
なんだか手元においておきたくて、額装してみたものの、
個展で飾るスペースなし・・・(涙)

でも、ひょんなことからお客様の目にとまり、
目を輝かせて欲しいといってくださいました。

ぶっとびだぜ!
・・・って直球で言ってくれた、その言葉と表情が
私には恥ずかしくてうれしくて。

お嫁に出す父親のように手渡すのが名残おしくて
でも、そんなことばかりしていたら家中作品の山でどうしようもなくなってしまうので、気に入って飾ってくれる人のものに行くのが一番書にとってもうれしいことと思ってお譲りすることにしました。


澄翔伝えたいことが伝わるとき、
人が感動するとき、
そこに作為は全くないのだと。

作品を見たり受け取った人が、
笑顔になったり、感動してもらえるようなものを作っていきたい、
とずっと思っていました。

でも力をもらっていたのは実は私のほうだったのです。心からのお客様の笑顔に泣きそうになりました。

産みの苦しみと、限られた時間との戦い。


手を抜くこともできるけれど
そんなことをしたら後悔だけが残るから、
できるところまでトコトンやる。

人の優しさに触れ
助けを借り、
応援に駆けつけてくれる人がいて、
同じ志をもってものづくりをできたこと。

和紙のタカノさん、指物士の吉澤さん、
匠の杜のブレーン、お客様。
素敵なご縁を、
どうもありがとうございました。

澄翔 拝

投稿者  女流書道家 矢部 澄翔