澄翔個展「夢の途中」 vol.3

リビングの奥に足を進めると、
天井から5メートル以上もの長い布がかけられています。

何やら大きい文字が。
これは、何と書いてあるかというと・・・

矢部澄翔個展 夢の途中

胡蝶夢。
故事成語です。

これが完成したのはなんと、個展会期3日前!
インテリアの書をテーマにしていましたので
最後まで大きい作品を書くつもりはなかったのですが、
ちょっと物足りない。

天井が高かったのでこれを生かさない手はないと、
麻布を調達。

夢というコトバがスキ。
「胡蝶夢」は、今の自分を象徴しているようで・・・
迷わずこの言葉を選びました。

制作したのは夜中の2時ごろだったでしょうか。
灯かりを落とし、薄暗いアトリエに静かに流れる曲とともに
墨を調合して・・・

蝶になったかのように、ヒラヒラと布の上を筆が踊る。
無我の境地で書作。

私はしばらく立ち上がることもできないまま
ただひとり布の上にできた墨だまりを見つめていました・・・。


胡蝶夢

『胡蝶夢』


「我 夢に胡蝶となるか 胡蝶 夢に我となるか・・・。」

ある日、荘周(荘子)は夢の中で蝶となった。
ひらひらと楽しく舞い遊んだ。
なんと気持ちのよいことか・・・。
そして自分が荘周であることを忘れた。

しかし、目覚めてみると紛れもなく自分は荘周であった。
自分が夢で蝶となったのか、蝶が夢見て今自分になっているのか、
わからなくなってしまったという。

「周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。
此れを之れ物化と謂ふ。」


『荘子』斉物論の故事成語より


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投稿者  女流書道家 矢部 澄翔