2004年 第26回東京書作展
▼2004年11月17日の東京新聞に矢部澄翔の作品が掲載されました。
※以下、東京新聞より一部抜粋。
「寂 寥」 島崎藤村
岸の柳は低くして
羊の群れの絵にまがひ
野薔薇の幹は埋もれて
流るる砂に跡もなし
蓼科山の山なみの
麓をめぐる河水や
魚住む淵に沈みては
鴨の頭の深緑
花咲く岩にせかれては
天の鼓の楽の音
さても皆瀬はくちなはの
かうべをあげて奔るごと
白波高くわだつみに
流れて下る千曲川
「大寒歩至東坡贈巣三」 蘇東坡
春雨(しゅんう)暗塵(あんじん)の如く
春風人を吹倒す
東坡数間の屋、巣子(そうし)誰と與(とも)に隣る
空牀(くうしょう)破絮(はいじょ)を斂(おさ)め
破竈(はそう)生薪(せいしん)鬱(うつ)たり
相対して寒を言わず
哀しい哉我が貧を知ればなり
我に一瓢(いちびょう)の酒あり
獨飲(しょくいん)するは良(まこと)に不仁(ふじん)
未だ我が頬を赬(あか)うする能(あた)はず
聊(いささ)か復た子が唇を濡(うる)ほさん
故人千鐘(せんしょう)の祿(ろく)
馭吏(ぎょり)醉(よ)うて茵(いん)に吐く
那(な)んぞ知らん我と子と
坐して寒螿(かんしょう)の呻(しん)を作(な)す
努力して天を怨む莫(な)し
我爾(なんじ)皆天民
行きて看ん花柳(かりゅう)の動くを
共に享(う)けん無邊の春を
※以下、東京新聞より一部抜粋。
全国的な書の公募展「第26回東京書作展」(東京新聞主催、文化庁後援)の入賞と入選が決まった。伝統文化、芸術である書道の研鑽と進歩の場「東京書作展」は、今年26回目を迎え、多数の応募、秀作を得た。 新人書家の発掘と育成に加え、流派にとらわれない「公平な審査」のため最終審査は公開で行われる。こうした姿勢は着実に根付き継承されていると確信する。 今回の作品は、「漢字・篆刻(てんこく)・刻字」「仮名」「現代漢字かなまじり文」「少字数」の四部門で、応募点数は委嘱の部213点、一般の部3251点の合計3464点となった。このうち一般の部では、969点が入賞、入選作品となり、最高賞の内閣総理大臣は漢字作品となった。・・・以下略。★選考経過★
部門別審査の第1次、2次審査によって、一般の部応募作品3251点のうち969作品が入選、その中より獲得点数順に上位118点が第3次審査に進出した。さらに第3次審査で上位13点に絞られ、このあと公開討論による第4次審査が行われた。 最終審査会場に展示された13点の中から、審査員より最高賞候補に数点が挙がり約2時間におよぶ白熱した討論の結果、審査員より多数の賛同と支持を得て、内閣総理大臣賞・東京書作展大賞に本山鈴翠氏の漢字作品が決定した。次いで古賀桂華氏の漢字作品が文部科学大臣奨励賞・東京書作展準大賞に、そして加藤公孫氏の漢字作品が東京都知事賞に輝いた。 このあと第3次審査の得点に基づいて東京新聞賞10点、続く50点が特選に決定し、審査を終えた。
現代漢字かなまじり文部門 「東京新聞賞」受賞作品
「寂 寥」 島崎藤村岸の柳は低くして
羊の群れの絵にまがひ
野薔薇の幹は埋もれて
流るる砂に跡もなし
蓼科山の山なみの
麓をめぐる河水や
魚住む淵に沈みては
鴨の頭の深緑
花咲く岩にせかれては
天の鼓の楽の音
さても皆瀬はくちなはの
かうべをあげて奔るごと
白波高くわだつみに
流れて下る千曲川
薔薇の花をちりばめた様子のモダンな現代文。※2004.11.17 東京新聞より抜粋
ゆとりの空間に時に楽しく、時にもの哀しく魅せる文字群は、作者の心のシルエット、花束。
(評 : 内野七色)
漢字・篆刻・刻字部門 「特選」受賞作品
「大寒歩至東坡贈巣三」 蘇東坡春雨(しゅんう)暗塵(あんじん)の如く
春風人を吹倒す
東坡数間の屋、巣子(そうし)誰と與(とも)に隣る
空牀(くうしょう)破絮(はいじょ)を斂(おさ)め
破竈(はそう)生薪(せいしん)鬱(うつ)たり
相対して寒を言わず
哀しい哉我が貧を知ればなり
我に一瓢(いちびょう)の酒あり
獨飲(しょくいん)するは良(まこと)に不仁(ふじん)
未だ我が頬を赬(あか)うする能(あた)はず
聊(いささ)か復た子が唇を濡(うる)ほさん
故人千鐘(せんしょう)の祿(ろく)
馭吏(ぎょり)醉(よ)うて茵(いん)に吐く
那(な)んぞ知らん我と子と
坐して寒螿(かんしょう)の呻(しん)を作(な)す
努力して天を怨む莫(な)し
我爾(なんじ)皆天民
行きて看ん花柳(かりゅう)の動くを
共に享(う)けん無邊の春を
投稿者 女流書道家 矢部 澄翔