墨工場見学に行ってきました!

さいたま市にある開明株式会社さんの、墨汁工場を見学させていただきました。
埼玉県民の私たちにとって、黄色いボトルの「開明墨汁」は小さい頃から
なじみのある墨汁でした。
日頃、お稽古で使っている墨、とくに「墨汁」がどのようにして作られるのか、
間近で見学できる機会に恵まれ、生徒一同楽しみにしていた課外学習です^^

ところで、墨が使われはじめたのは紀元前700年頃といわれています。
中国では後漢の時代、蔡倫(さいりん)が紙を発明してから
製墨技術も急速に発展したそうです。


墨汁の製造過程

墨汁の製造過程日本に固形墨が伝わったのは推古天皇の御代、明治中期に開明初代社長田中精爾が墨汁を発明しました。

岐阜の山村の小学校で教員をしていた初代社長が、習字の時間に子どもたちが

「墨をする時間がもったいない」
「寒い冬、かじかんだ手で墨をするのがかわいそうだ」

これを何とかしたいと思い立ちったことが、
墨汁誕生につながったそうです。


墨汁の主な原材料は、

●カーボンブラック
 固形墨の原料の油煙に匹敵するもの。
●膠
 動物(主に牛)の皮、骨、筋などを煮出して
 抽出した動物性たんぱく質。
●合成樹脂
 膠に似た働きをする品質の安定した
 化学製品。
●香料
 膠の臭いを消すために使用。
 膠の品質が向上した現在は、
 墨特有の匂いをつけるために使用。
 主に龍脳など。

他にも、防腐剤、凍結防止剤、消泡剤などが使用されています。


墨汁の製造過程を簡単にまとめると、
(1)原料を溶解 (2)混合 (3)練り合わせ (4)分散 (5)検査
このような流れになるそうです。


墨汁の製造過程2さて、実際に作られた墨はタンクで保管され、1本1本容器に詰めていきます。

左写真は、上から

・墨容器を並べる
・墨を注入
・墨の量を赤外線で測量
・蓋をしめる
・ラベルを貼る

その後、機械で自動的にシュリンクされ、手作業で箱詰めしていました。

開明さんでは、現在100種類ほどの墨を取り扱っていて、1日に2万本くらい製造されるそうです。
中には、果物シリーズや、イラスト付のものなどもありました^^

素朴な疑問ですが、液体の墨のことを「墨汁」、「墨液」などと呼ばれていますが、どのような違いがあるのか質問してみました。

「墨汁」「書液」というのは、「開明墨汁」「開明書液」など開明さんで作られる墨の商品名が関東に広がり呼ばれているようです。
それに対して「墨液」は関西の方で呼ばれることが多く、液体墨の総称とされるそうです。

同じ県内で育った私にとっては、「墨汁」という呼び名が一番しっくりと来ますが、なるほど・・・。
例えて言うならば、「ボンド」と「セメダイン」の違いだそうです。


墨液は筆を傷める、墨色が悪い、というように邪道とする書家の方も多かったそうですが、実際どうなのか質問してみました。
生産技術が飛躍的に進歩した現在は、原料メーカーの品質管理も充実して古墨に匹敵する液墨の製造が可能となるなど、固形墨と液墨も品質に差がないそうです。

洗濯で落ちる墨が出てきたりもしています。
書道家の私にとっては、色も薄いし書きにくいしとんでもない!とついつい思ってしまいますが、世の中の母親の立場から考えると、子供の服についた墨の汚れが落ちることは大助かりなわけです。

つまり、目的・用途にあった墨を使う、そのためにも墨の知識を持つということは大切なことかもしれませんね。
ちなみに私は、墨汁もよく使います^^

墨の試し書きをさせていただきました。

通常の墨汁のほかに、布用、木用の墨なども試筆させていただきました。

工場見学01


上から
(左)小4千晶・・・女には愛!イラストは大得意です。
(右)小1夢来・・・私の夢。覚えたての「私」という漢字で。

(左)小5圭吾・・・墨汁。真面目にかけました!
(右)小3晃大・・・てんとう虫。この二人は兄弟です^^

工場見学02


(左)小1実穂・・・度胸と遊び心はNo.1!漢字も得意です♪
(右)小3武志・・・なぜ、米屋??どらえもんは、最高級墨「花仙」を使用。

(左)大人の生徒さん・・・エコバック、野菜バック。初布書きはいかが?
(右)澄翔と千晶・・・眞墨書道教室プチ看板、コラボしました^^


墨工場見学
あっという間の2時間でした。
お土産に新書液の「開明これ いっぽん」をいただき、大満足の子供たち。
記念撮影の掛け声は、
「これ10っぽ〜ん!!」
・・・笑
普段何気なく使っている墨ですが、私たちの手元に届くまでには、
様々な工程を経て出来上がるのだと改めて思いました。

「墨をする時間がもったいない。」
「寒い冬、かじかんだ手で墨をするのがかわいそう、」
・・・という田中精爾初代社長の心使いから墨汁が誕生して早1世紀。
これからも、墨汁は書道をはじめ様々な分野でしようされ、
多くの方に愛用されていくのでしょうね・・・。

貴重なお時間をいただき、生徒一同感謝申し上げます。
             2007.03.29 眞墨書道教室主宰 矢部澄翔 拝

投稿者  女流書道家 矢部 澄翔